51期グランドテーマ/セクションテーマが共に決定致しました!以下に紹介致します。

グランドテーマ(Gテーマ)

 2022年2⽉24⽇、ロシアによって⽕蓋が切られたウクライナ戦争は、今やロシア、ウクライナ⼆国間の問題を越え、グローバルに影響が波及し、国際秩序が⼤きく揺らいでいる。ロシアが現状変更を図って武⼒⾏使の⼿段を取ったことに注⽬が集まっているが、それは秩序の動揺の⼀⾯にしか過ぎない。実際に存在する問題領域は多岐にわたり、環境、軍備、経済、国際機関、⼈権・⼈道がその⼀端を成している。各領域の例として、脱炭素化計画の混乱、兵器・武器供与のガバナンス、経済制裁に対する各国の異なる姿勢、国連安全保障理事会の機能不全、戦地における⼈道的被害が挙げられる。これらの問題は直近になって⽣じたものではなく、歴史的変遷を経て現在の我々の⽬の前に表れている。
 国際秩序の動揺は今回初めて⾒られているわけではない。これまでもベトナム戦争や湾岸戦争などに よって秩序が揺れ動き、その度にそれを乗り越えるための試みがなされてきた。今回のウクライナ戦争 も、国際秩序の変⾰を考える契機となるのではないか。参加する学⽣には、各セクションの領域においてウクライナ戦争を議論の出発点とし、国際秩序の動揺の要因から動揺を克服する可能性に⾄るまで幅広く考えてほしい。

セクションテーマ

ウクライナ戦争は気候変動への取り組みを難化させている。脱炭素化に反する政策や各国の態度の差がその例である。しかし同時に危機は変化の契機ともなり、エネルギー安全保障を理由に再生可能エネルギーへの移行が目される。一方これに伴う技術や主導権争い、途上国への普及などの問題も注目に値する。本セクションでは、先のような多様な視点から環境面の諸問題を議論していく。
ウクライナ戦争では他国からの武器供与と多様な兵器の使用により被害が拡大し、現代の戦争形態を再考する契機となっている。国際社会はこれまで兵器の使用や武器移転の規制を試みてきたが、技術革新への対応の遅れや政治的影響により、国際的なルールの実効性が疑問視されている。本セクションでは、ウクライナ戦争を始点に軍備管管理の問題について歴史的変遷を辿り、考察していく。
ウクライナ戦争による経済的な影響は、サプライチェーンの混乱に伴う物価高騰や金融市場の不安定化など、生活の身近なところで表れている。並行して、経済制裁の実行に伴う影響に起因する各国間の足並みの乱れや、従来の経済的相互依存による戦争抑止の理論の揺らぎなどの問題が顕在化した。本セクションでは、国際秩序の動揺と経済が相互に影響しあう関係について思索していく。
ウクライナ戦争は国際機関の諸問題に関する議論を活発なものとした。国連安保理の紛争対応における機能不全が露呈し、その実効性や制度の不備が指摘されたほか、国際機関への中国やグローバルサウスの影響が高まり、今後の国際秩序を担うアクターに注目が集まっている。本セクションでは、国際機関の諸問題と向き合い、国際秩序の安定を左右する国際機関の存在意義や役割を探求していく。
ウクライナ戦争では、人権・人道上の被害が脆弱な立場にある人々に及びやすいことが露呈した。しかし、これらの問題は他の紛争下や平時においても確認されたものであり、難民受け入れに関する制度上の不備に加えて、国内避難民や反戦運動にみられる人権の格差などの争点が議論されている。本セクションでは、国際秩序の動揺と人権・人道上の諸問題が相互に与える影響を検討していく。