川嶋周一先生 インタビュー


Q1.十大に対するイメージ
首都圏には十大のようなインカレで勉強する団体や機会が複数あるようですが、自分自身は十大しか知りません。だから比較はできないのですが、その上での印象論として、大学の垣根を超えて似た問題関心を持った人たちが集まり勉強をして切磋琢磨し一つの成果物を残す。そのような機会に学生時代には恵まれなかったので、自分自身はうらやましいかぎりです。参加大学は、本当に色んな大学から来てほしいと思っています。今はやはりちょっと偏りがありますね。実質的には固定化された幾つかのゼミが集まって運営しているのですが、これには良しあしがあります。今の所それほどのデメリットは出ていないようですが…。論文の質は、ここ近年上がっていますが、「提言」を目指す書き方が増えている傾向が見られます。これは、大学生活が実際には就職活動に大きく支配され、よくできる学生ほど早く立派なビジネスパーソンになろうとする傾向があることと無縁ではないでしょう。書かれているレベルは確かに上がっていますが、「何のために書いているのか」が見えにくかったり、アカデミックであることの意味を理解していないまま書かれている論文が増えたかな、と一方でも思っています。だから論文に対するフィードバックには、そのセクションが何を書きたいのか、ということに応えられるようなものを心がけているつもりです(ですが上手くは中々行きません)。最後に、ここ数年、女子大からの参加者が増えたために、いわゆる華やかでキラキラした雰囲気が出てきました。リクリエーション企画(BBQなど)の集合写真など、いわゆるウェイ系テニサーと見間違えんばかりのはじけ具合ですが、教員としてはあくまで論文に対する点のみをサポートするつもりです。

 

Q2.記憶に残っている期(論文)
2007年頃から関わり、2010年と11年は在外研究で不在だったのですが、帰国後の2012年、雰囲気が大きく変わっていて驚きました。加えて、事例を探しながら最後に提言を行うという事例と提言のバランスが取れていたのが印象的でした。論文としては、2013年の宗教セクと2014年の水資源に関する論文は、ほかのセクションの論文と比べると(他のセクには申し訳ないのですが)完成度のレベルがとびぬけていたので、読んでいて面白かったのをよく覚えています。特に2014年の最優秀論文になった水資源に関する論文は、非常にレベルの高い論文だったと思います。
【13年の宗教セク、14年の水資源に関する論文はこちら!】

 

Q3.論文執筆の際に気を付けていること
私自身は歴史的アプローチから論文を書いているので、まず書く論文のテーマに関する史料は全部読んだうえで、史料の中から物語(自分が主張したいテーゼ)を紡ぎだすことを大事にしています。また、そのテーゼも、できるだけ簡潔で、専門外の人にも伝わりやすいものにすることに気を付けています。論文を書く前に、ある程度論文で書こうと思っている内容は、実は頭の中にあるものです。しかし、史料を読み進め、書きたいことを書いているうちに、そのような当初の予想(仮説、と言ってもいいでしょう)が覆されたり、また実はどうでもよいことだった、と思うことはいくらでもあります。そういう時、自分が書くべき問題は何なのかを考え直さなければなりません。何を書いているのか、何を明らかにするのか。それにどんな意味があり、どこまで掘り下げることができるのか。論文執筆の際に考えていることは、このようなことです。あと、締め切りは多くの場合守れないのですが、守れるものなら締め切りを守ること。これも論文執筆の際に気を付けなければならない非常に重要な点です。

 

Q4.44期へのメッセージ
三か月間、我を忘れて議論して学んで欲しいとおもいます。勉強に自信がない方でも、三か月間必死に議論と勉強に喰らい続けていけば、きっとあなたは変わることでしょう。そういう人をこれまで多く見てきました。世界は広く、その多くは闇に満ちています。あなたが十大で議論して得た考えや知見を、十大が終わった後に、世界を照らす光として使ってほしいと思います。あなたが変わることで、世界を変えよう。


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